レア石・希少石解説と意味

現在取り扱い中のヒマラヤ圏外のレア石達。スパイキー店長の独自チョイスで好きな石でクオリティの高いものだけを仕入れております。商品解説には各天然石のちょっとした歴史や為になる面白小話を取り入れるようにしております(※一部専門的知識を要する部分には、専門機関の発行するの英字論文等を参照・和訳させて頂いております)

【ラリマー(ブルーペクトライト)】

ラリマー意味01 ラリマーは比較的新しく発見された石で、鉱物名はブルーペクトライト(ソーダ珪灰石)です。 ペクトライト自体は世界各地で産出しますが、神秘的なブルーのペクトライトが産出するのは唯一ドミニカのパオルコ山脈周辺(Bahoruco)とバハマのみです。 1974年、発見者であるミゲル・メンデス(厳密には1916年には存在が確認されていたといいます)が愛娘であるラリッサ(Larissa)とスペイン語で海の意味であるマール(mar)を組み合わせてラリマー(Larimar)と名付けたというのは有名な話です。 以来美しいラリマーの唯一の鉱山として知られているのはロス・チュパデロス(Los Chupaderos)鉱山のみとなっております。
まるでカリブ海の色を体で表現したようなラリマーの青色ですが、これはカルシウムから転換した酸化コバルト(鉄族元素)の色だと考えられます。 ラリマーは火山岩である安山岩や玄武岩の亀裂を埋めるようにして生成しますので、塊状で産出します。 地中深くにラリマーの鉱脈があるようで、掘り進めるのは困難かつ危険を伴うようです。 特に雨期になると縦穴が水没してしまうこともあり、土砂崩れなどで鉱夫が生き埋めになったとの噂も絶えないそうです。

ラリマー意味02 通常はそれらの塊状岩石をディスク状にカットしてから様々な形(ビーズやカボション)へと加工されるのですが、近年ではドミニカ共和国内でカット加工まで行われる事は多くありません。 ほとんどの良質ラリマーが香港の業者等を介し原石のまま海を渡り、中国などで削られて市場に流れます。 最近の人気の石でもありますので、お探しの方も多いかと思いますが、とにかく希少性がゆえに美しいものがなかなか見つからない、というのが現状です。 ラリマーに魅せられ、ラリマーを求めるのは日本人だけは無く、世界中で同時進行的に人気の石だといえるでしょう。 近年では産出量減少の噂も絶えず、今後も値段が高騰するのではないかと目されています。 モース硬度4.5と決して強度があるわけではございませんので、落下等の大きな衝撃には気をつけなくてはなりません。 パワーストーンとしても地球上で最高クラスの癒しの力を持つといわれ、心の中に潜む不安や怒り、嫉妬など負の感情やネガティブなイメージを取り除いてくれるといわれます。 確かにカリブの海と空のような何処までも青い世界を見ていると、心がすっと軽くなりそうですね。

<2011年11月追加記述>
上記でも「希少性がゆえに美しいものがなかなか見つからない」と解説致しましたが、2010年頃からこの状況は随分と変わりつつあります。 産出減少の噂は数年前まで絶えず聞かれておりましたが、ここ1-2年で良質も含めて多くのラリマーが市場に出回るようになりました。 あくまでも推測にすぎませんが、近い場所に新たなる鉱脈があった可能性や、現行の鉱山で大規模に堀り進めた結果大きな脈にあたった可能性も否めません。 もはや「希少」とは過言かもしれませんが、高騰してしまった値段が下がる事は考え難く、相変わらず高い石であることに変わりはないでしょう。

【ラリマーの当店グレード基準】
☆☆☆☆☆(☆5)青のトーンが群を抜いて明るく美しい。 ラリマー特有の亀甲模様が非常に美しく、色調に一切の濁りや黒点、亀裂が無いもの。 少しの透明感がみられる場合も。 入手困難です。
☆☆☆☆(☆4)☆5グレードに準ずるもの。 鮮やかな青色で色に濁りや黒点が無い。 美しい亀甲模様も特徴。
☆☆☆(☆3)青というよりも美しく優しい水色。 突き抜けるような濃く鮮やかな青色ではないが、色に濁りはほとんどない。 ☆3グレード以下になると若干黄色みを帯びるものもあり。 黒点や亀裂もほとんど無し。
☆☆(☆2)色が薄く、模様もあまり見られない。 所々に黒点が見られる場合も。 スパイキーでは扱いがありません。
☆(☆1)★1:色が薄く、黒点あり。 水色というより黄緑色と水色を混ぜたような色。スパイキーでは扱いがありません。

※黒星マーク(★)は0.5です。 ☆☆☆★は☆3.5グレードとなり、3グレードと4グレードの中間です。
※スパイキー独自の基準と判断によるグレード分けです。 石のグレードには市場共通の分類があるわけではございませんので、他者・他店さんとのグレード分類とは差異が見られる場合もございます。

【ラリマーを身に着ける際の注意事項】
鮮明ながらも優しい色合いのラリマーは女性に大人気。 アクセサリーとしての需要も高く、身につけた時の見た目の良さは抜群です。 しかしラリマーは決して強い石ではありません。 特に注意すべきは表面へのスクラッチです。 ラリマーの表面は非常に傷つきやすく、ブレスレットの場合は腕時計との併用は厳禁です。 腕時計の金属部分がラリマーにスクラッチ傷を与えてしまいます。 出来れば他のブレスレットとの2本着けも控えめにした方が良いです。 無数のスクラッチ傷がついたラリマーは研磨したてのものと比べると表面の輝きや照りが完全に失われ、ざらざらとした表面になります。 光や熱、汗・油にはある程度強いですが、汗や油がクラックから浸透すると退色の可能性もありますので、まめに拭いてあげるのが良いでしょう。 最近流行りの透明(アイス)ラリマーも衝撃やスクラッチに弱いので注意して下さい。

【ロードクロサイト(菱マンガン鉱、通称インカローズ)】

ロードクロサイト意味01 美しい赤ピンク色から絶大な人気のあるロードクロサイトは和名を菱マンガン鉱という酸化マンガン鉱物です。 ロードクロサイトは主に金属鉱床の熱水鉱脈にて比較的低温下で生成することがわかっています。 美しいピンク色はマンガンイオンによるものですが、ロードクロサイトは固溶体(2種類以上の元素が互いに溶け合い、全体が均一の固相となっているもの)として産出するため、酸化鉄鉱物などが含まれると、鉄イオンのマンガンイオンへの置換により赤が強くなる場合もあります。 同様の原子置換により白みを帯びたり紅色になることがあります。 菱面体、塊状、葡萄状、同心円状、と様々な形状で産出するロードクロサイトですが、日本名の如く綺麗な菱型の単体結晶は主に鉱物蒐集家にコレクションされ、塊状のものはカット加工されて宝飾品となる場合がほとんどです。
さて、このロードクロサイトですが「インカローズ」としての通称のほうが馴染み深いかもしれません。 ロードクロサイトの多くがかつてインカ帝国の栄えた地域から産出するため、「インカの薔薇」という名前が与えられた、というのが一般的な見解ですが、正しくは「現アルゼンチンの、インカ帝国の時代から稼働していた鉱山で採れる、鍾乳石状に成長し、スライスすると断面が薔薇の花のような同心円状の模様があるロードクロサイトのこと」であり「産地と模様が限られたロードクロサイト」なのです。 ※某有名個人サイトを運営するオーナー様からの情報です。 インカローズとしての代表格はアルゼンチン西部のアンデス山脈東側にあたる地域からやってくるロードクロサイトでしょう。 カタマルカ州アンダルガジャ群カピジータス鉱山の銅鉱床はインカ時代から続く鉱山であり、同心円状の薔薇模様を持つ美しいロードクロサイトが産出します。 また、かつてのインカの人々はロードクロサイトの赤色はインカの支配者たちの血が石と化したものだと考えており、それがインカの薔薇(Rosa del Inca)と呼ばれる由縁となったという伝説もございます。

ロードクロサイト意味02 このロードクロサイト菱マンガン鉱ですが、世界中の金属鉱床中に産出があります。 伝説的超良質を産出したコロラドのスイートホーム鉱山は蒐集家の間では有名ですし、かつて日本で産出した金属鉱山からのロードクロサイトも稀にミネラルショーを賑わします。 ペルーのアンデス地域にも良質を産出する鉱脈が広がっており、南アフリカなども産出があるようです。 スパイキーが取り扱うものの多くはアルゼンチン産、もしくはペルー産です。 いわゆるインカローズでもありますが、ここは無難にロードクロサイトと呼んでおくのが良いでしょう。
ロードクロサイトは取扱に注意が必要な石です。 特にスクラッチに対しては非常に弱く、すぐに傷がついてしまいます。 ペンダントとしての着用は特別問題ありませんが、研磨剤の入ったクロスで拭くのは厳禁。 また、ブレスレットとしての着用はあまりお勧めできず、着ける場合は他のブレスレットとの2個着けや腕時計との着用は止めた方が良いでしょう。

<2011年12月追加記述>
上記のラリマーと対照的にここ1年ほどで急激に良質なものが無くなり、価格が高騰したのがアルゼンチン産ロードクロサイトインカローズ) 価格はたった一年で倍近くなったと言っても過言ではなく、最上級のものになると馬鹿馬鹿しいほどの値段となっております。 度々メルマガにも記載しましたが、一つの要因は産出が減ってきているのであろうという事ですが、もうひ一つが中国でのインカローズのブームです。 中華レストランに行くとわかるかと思いますが、中国では赤色と金色が吉祥の色とされます。 その為、鮮やかな赤色であるインカローズは好まれる傾向にあります。 今や富裕層が増えた中国では、恐ろしいほどの速度で市場からインカローズが無くなり、値段が高騰の原因となりました。 今後の先行きは現状不透明と言ったところでしょう。 余談ですが、富の象徴である金色、つまり金ルチルの高騰も同様の事が一因となっております。

【ロードクロサイトの当店グレード基準】
☆☆☆☆☆(☆5)赤い薔薇のような濃い赤色、不純物や色むらも一切なく透過性・透明度は抜群。 最高グレードのインカローズは殆どの場合ファセットされたりカボションに削られます。
☆☆☆☆(☆4)濃い紅色、ガラス質の透明感もみられる。 不純物が少なく白いラインや黒点も殆どなし。
☆☆☆(☆3)ピンク~紅色。 若干の白もやが混ざることはあるが、まだガラス質の透明感がある。
☆☆(☆2)ピンク色で色にもムラがあり。 白いラインや黒点が見られることも。 透明度や透過性は無い。
☆(☆1)色が薄く白い縞模様が多い。 しかしそれを良さと見る場合もあるので質が低い=悪いというわけではない。

※黒星マーク(★)は0.5です。 ☆☆☆★は☆3.5グレードとなり、3グレードと4グレードの中間です。
※スパイキー独自の基準と判断によるグレード分けです。 石のグレードには市場共通の分類があるわけではございませんので、他者・他店さんとのグレード分類とは差異が見られる場合もございます。

【ロードクロサイト(インカローズ)を身に着ける際の注意事項】
鮮やかな紅色が美しいロードクロサイト(インカローズ)も女性に人気の石であり、アクセサリーとしても魅力的です。 しかしインカローズは私の経験的なものも含め、最弱クラスの石であると言わざるを得ません。 表面は極端に弱く、スクラッチ傷に対して細心の注意が必要です。 ブレスレットとして身に着ける場合は腕時計との併用は厳禁、出来れば他のブレスレットとの重ね着けも控えて頂きたいです。 スクラッチ傷が付くと、新品の時のような照り感や艶やかさが無くなり、丸玉の凸部分に沿うように白い帯が出来てしまいます。 これは無数の傷により光沢が失われる為です。 硬度も3.5と脆弱であり、割れや欠けも起きやすいといえるでしょう。 また、酸に対しても非常に弱く、スクラッチ傷から汗が浸透してしまうとあっという間に鈍く曇った色になるでしょう。 ついでに水分・湿気にも弱いです。 ペンダントとして着用の場合は、直接肌に着かないデザインのものが好ましいです(当店のペンダントのデザインはすべて大丈夫です) ブレスレットとして販売しておいて何ですが、ブレスレットに関しては、勝負時・自慢したい時程度に着用するようにし、主に観賞・コレクション用とするのが良いでしょう。 あまり身に着けない方が良いです。 

【ハックマナイト(方ソーダ石)】

ハックマナイト意味01 フィンランドの地質学者であるハックマン氏が発見した石である為、ハックマナイトという名前で呼ばれるソーダライトの亜種です。 ソーダライトといえば、ラピズラズリを構成する鉱物のひとつであり、火成岩の亀裂中に他の鉱物と混ざりながら塊状で産出します。 ハックマナイトの最大の特徴は色変であり、太陽光に晒すと色が濃くなるという特性があります(この特性を鉱物用語でテネブレッセンスtenebrescenceと呼びます) このテネブレッセンスは光線の波長が変化するときに起こることがわかっております。 つまりハックマナイトの場合、短波の紫外線を浴びることにより色が濃くなるという色変をおこし、紫外線が届かない屋内に持ってくると再び元の色(薄い紫色)に戻るのです。 この色変は陰(負)イオンがエフセンター(F-Center)と呼ばれるイオン格子内に欠如していることによって起こると考えられています。 ハックマナイトに欠如している陰イオンは塩素原子ですが、格子内に陰イオンが欠如している為、陰イオンを取り込むことによって色変を起こすとわかっています。 陰イオンの数や構成によって鉱物の色は決まっており、、紫外線を浴びたハックマナイトはエフセンター内に陰イオンである硫黄イオンを取り込むために色が濃くなるのです。 この色変は永続的に繰り返されますが、熱を加えるとテネブレッセンスが失われる事がわかっています。
色の変化の強いものであれば、太陽光に当てるだけでテネブレッセンスをはっきりと見てとることができます。 数秒のうちに色が染み出してくるかのように濃くなるのが肉眼で確認できるでしょう(反対に色が完全にもとに戻るのには数分から数時間かかります) ロシア、アフガニスタン等でも良質な色変ソーダライト(ハックマナイト)が産出しますが、最も希少で良質とされるのはミャンマーのモゴック産といわれています。 ミャンマーのモゴック産は特にライラック色が美しく、稀に希少な緑色が見つかるのも特徴の一つです(アフガニスタンでは黄色やオレンジ色のハックマナイトも確認されております) スパイキーの扱うハックマナイトの多くはミャンマー・モゴック産もしくはアフガニスタン産です。

※テネブレッセンスの記述はサンフランシスコ州立大学鉱物学者バーバラ・ボルタレー女氏文献参照及び和訳しました。

【ハックマナイトの当店グレード表記】
☆☆☆☆☆(☆5)透明度が高く色変も劇的。 内部にクラックやもやの無い最高質のハックマナイトは殆どの場合、宝石としてファセットカットされるので、丸玉ビーズでの★5グレードは無い。
☆☆☆☆(☆4)☆5に比べ透明度は落ちるが、色変はかなり強い。 稀に見られる緑色は希少。
☆☆☆(☆3)クラックや白い不純物があり、透過性は上位2グレードに比べて落ちるがガラス質の透明感あり。ライラック色が美しく色変化も肉眼で確認できるほど強い。 丸玉ビーズの多くはこのグレード。
☆☆(☆2)濁りが強くなるが、色の変化は充分に確認できる。
☆(☆1)ほとんど色変も見られず、不純物が多い。

※黒星マーク(★)は0.5です。 ☆☆☆★は☆3.5グレードとなり、3グレードと4グレードの中間です。
※スパイキー独自の基準と判断によるグレード分けです。 石のグレードには市場共通の分類があるわけではございませんので、他者・他店さんとのグレード分類とは差異が見られる場合もございます。

【ハックマナイトを身に着ける際の注意事項】
紫外線を浴びると色が変化するという世にも不思議なハックマナイト。 ブレスレットを身に着けてその色変化を楽しみたいものです。 ハックマナイトは硬度5.5-6と比較的に高く、ある程度耐性のある石のようです。 ハックマナイトの耐性に関する論文が少ないので、経験からの記載もありますのでご了承ください。 表面はさして脆くはないようで、スクラッチ傷は付き難いと思われます。 衝撃に対して強いとはいえませんが、弱いわけでもありません。 水晶ほどではありませんが、欠けや割れの心配も過剰になる必要はないでしょう。 酸性成分には弱い可能性がありますので、汗をかいた時は拭いてあげるのが良いでしょう。 上記の通りハックマナイトの色変化はほぼ永続します。 そこで一つ気が付いた点を挙げておきます。 経験上、この色変化は使えば使うほど激しくなるようです。 未使用のハックマナイトの多くはライラック色であり、それが紫外線に晒されると濃くなります。 しばらく使うと紫外線下でより濃くなるように思え、紫外線から遠ざけるとより色が薄くなる(ほぼ白色)になるように思えます。 つまり通常時がライラック色よりも白っぽくなります。 冬場ほどこの傾向が強いのは紫外線量の関係でしょうか。 これに関してはあくまで経験上ですのでもう少し注視が必要です。  

【クンツァイト(リシア輝石)】

クンツァイト意味 優しいライラックピンクのクンツァイトリシア輝石スポデュメンとも呼ばれる)はリチウムが豊富なペグマタイト中に産出する珪酸塩系鉱物です。 1902年に宝石商であるクンツ氏に発見された、比較的新しい石と言えます。 リシア輝石の中でライラックピンクのものをクンツァイト、緑色のものをヒデナイト、黄色のものをトリフェンと呼びますが、各々含有するイオン成分(マンガンイオンやの違いによって色に差異があることがわかっています。 シリア輝石はリチウム電池の原料であり、多くが工業用として利用されます。 スポデュメンという言葉はギリシャ語で「灰になるまで燃やされた」という意味であり、工業用として精製された時の色合いが灰色ということに由縁します。 しかし宝石質で透明感のあるスポデュメンは美しい宝石として重宝されています。 多くのクンツァイトは繊維状組織を持ち、結晶の縦方向に向かって条線が見られます。 その為、透明であることは稀で、内部が繊維組織によって白んでいることが殆どです。 また、クンツァイトは多色性を示す石であり(これを鉱物用語でプレオクロイズムpleochroismと呼ぶ)見る角度によって紫色、ピンク、あるいは無色のように見えることがあります。 アメリカ・カナダ・ブラジル・メキシコ・旧ソ連地域、と産地は世界各地にありますが、最近良質を多く産出しているのはアフガニスタンパキスタンでしょう。 当店のものはすべてアフガニスタン産となります。 ライラックピンクのクンツァイトは強い光によって退色しますので、保管の際は直射日光の当たらぬところに置くのが良いでしょう。 硬度は6-7とされますが、縦方向に弱い性質がありますので大きな衝撃には気をつけなければなりません。

【クンツァイトの当店グレード表記】
☆☆☆☆☆(☆5)非常に高い透明度で繊維状組織もほとんど見られないほど。 美しい透明感のあるライラック(薄ピンク紫)色。 主にファセットカットされて宝石になります。
☆☆☆☆(☆4)グレード★5に次ぐもので、内部にはほとんど繊維状組織は見られず、透明感抜群。 柔らかいライラック色(クンツァイト)と優しい薄緑色(ヒデナイト)です。 丸玉の良質はほとんどがこのグレードです。
☆☆☆(☆3)透明度が若干落ちるとともに、縦に走る条線が少し見えるようになる。
☆☆(☆2)薄ピンク色、条線が見えて、透明度はあまり無い。 しかし白色がライラックと混ざり合い、これはこれで綺麗だったりします。
☆(☆1)黒点が混じり、透明度が無い。

※黒星マーク(★)は0.5です。 ☆☆☆★は☆3.5グレードとなり、3グレードと4グレードの中間です。
※スパイキー独自の基準と判断によるグレード分けです。 石のグレードには市場共通の分類があるわけではございませんので、他者・他店さんとのグレード分類とは差異が見られる場合もございます。

【クンツァイトを身に着ける際の注意事項】
透明感があり優しく美しい色合いのクンツァイト。 こちらの石の最大の注意事項、それは光に極端に弱いという事。 直射日光を浴びるとたちどころに退色してしまいます(ピンク色が薄くなります)。 退色の度合いはアフガニスタン産、ブラジル産等の産地によっても違うのですが、いずれにせよ光に弱いという事に変わりはありません。 しかし市場に出回っている時点で、すでに退色していることがほとんどですので、過剰になる必要はないのかもしれません。 硬度6.5-7ですので水晶に近い固さであり、スクラッチに対する表面の耐性はありますが、繊維質(セロリのような)の結晶構造の関係で縦にクラックが多く、縦に対しての衝撃には強くないと思われます。  

【スギライト(杉石)】

スギライト意味 日本人には馴染み深い!?ピンクから紫色の多色性を示す珪酸塩系鉱物です。 スギライトは1944年に岩石学研究家である杉健一氏がその存在が四国の岩城島にあることを発表し、1977年に新たなる鉱物としての認定を受けました。 新しい鉱物であると申請した岩石学研究家の村上允英が師である杉健一氏の名に因んでスギライトと名付けたという話はあまりに有名です。 自形結晶化することは非常に稀であり、通常は岩石の亀裂を埋めるような塊状で産出します。 日本人が発見した石に相応しく、多くは日本人好みのあずき色~濃い紫色の融合色です。 最も多い色が濃ラベンダー色であり、次いで赤みを帯びた紫、珍しいものは青みを帯びた紫色とされますが、多色性を生み出しているのはマンガンの含有によるものです。 スギライトを世界的に有名にしたのは、70年代アメリカのヒッピーやニューエイジ世代だといわれます。 彼らはこのスギライトに神秘性を見出し、「高い次元への意識の目覚めや繋がりを助長する」ヒーリングストーンとして重宝したそうです。 カナダのケベック州やイタリア、オーストラリア、インド等での産出も確認されていますが、最も採掘規模が大きく産出が安定しているのは南アフリカです。 北ケープ州のカラハリ砂漠中にあるウェッスル(Wessle)鉱山は通称「マンガン地帯」と呼ばれ、上質のスギライトが採掘されます。 スパイキーの取り扱うスギライトはすべて南アフリカ産のものです。 余談ですが、この南アフリカ産のマンガンを含有するスギライトは、厳密にはマンガンスギライトと分別され、実はスギライトの変種なのです。 純粋なスギライト(つまりマンガンを含まないスギライト)は薄黄色の微小な結晶です。 ということで、スギライトとして売られている紫色のスギライト、本当はマンガンスギライトであり、スギライトそのものではないのです。 ※当店もスギライトとしておりますが、厳密にはマンガンスギライトです。

【スギライトの当店グレード表記】

スギライトは色に多色性があるのが魅力であり、ビーズ玉などは色々な色がミックスされて売られるのが普通です。 その為色によるグレードは大まかなものとなっております。

☆☆☆☆☆(☆5)あずき色と紫色と黒を足して3で割ったような色合いで発色がよい(鮮やか)であることが条件。 また稀に存在する透明感のあるものや、青色を帯びた紫色、非常に鮮やかな発色、珍しい模様のあるスギライトなどは最高グレードとして高額に扱われます。 ※特に青い色のスギライトは(ブルースギライト・リクトライトとも呼ばれる)は非常に希少ですが、これは南アフリカのウィスラー鉱山のスギライトに伴って形成するリクトライトです。 リクトライトではありますが、ブルースギライトと称されており、当店でもブルースギライトという名前を使っております。
☆☆☆☆(☆4)グレード★5に次ぐもので、神秘的な深い色合い。 紫色とあずき色が濃くなったような色合いや非常に鮮やかな発色、美しい模様やグラデーションも良質のポイントとなる。 ピンク色のスギライトも希少とされ人気がある。 丸玉の良質はほとんどがこのグレードです。
☆☆☆(☆3)色の濃さが若干落ちる。 あずき色や紫色が美しく、白い不純物などは殆ど見られない。 丸玉ビーズの多くはこのグレードです。
☆☆(☆2)薄いあずき色や灰色が混ざる。
☆(☆1)着色スギライト。

※黒星マーク(★)は0.5です。 ☆☆☆★は☆3.5グレードとなり、3グレードと4グレードの中間です。
※スパイキー独自の基準と判断によるグレード分けです。 石のグレードには市場共通の分類があるわけではございませんので、他者・他店さんとのグレード分類とは差異が見られる場合もございます。

【スギライトを身に着ける際の注意事項】
神秘的な紫色が基調のスギライトはアクセサリーとしての存在感も抜群。 日本人好みの色ですのでファンも多いのではないでしょうか。 スギライトは数あるレア石の中でも比較的着けやすいほうかもしれません。 硬度5.5-6.5ですが、ガラスのように欠けたり割れたりという事は稀であり、強度と耐性はそれなりに高いといえます。 しかし表面のスクラッチには気を付けなければなりません。 腕時計と一緒に着用した為、金属が断続的にあたって摩耗をしてしまったものを見たことがあります。 研磨したての光沢ある表面が失われ、ザラザラと照りのないものとなってしまいます。 腕時計との着用は避けた方が良いでしょう。  あまり退色・劣化という話は聞かれない石ではありますが、汗や水・油が浸透しやすいようにも思えますので、着用後は柔らかい布等で拭いてあげるのが良いでしょう。 ペンダントは特に問題ないかと思います。 

【モルダバイト(チェコ隕石)】

モルダバイト意味 透明感ある深い緑色が美しいモルダバイトは、隕石の衝突による衝撃によって生成されたと推測されるテクタイト(天然ガラス)の一種です。 モルダウ川流域のボヘミア地域(現チェコ共和国)で産出がある為、モルダバイトと呼ばれます。 最初に学会にモルダバイトの存在が発表されたのは1786年、プラハ大学教授のジョセフメイヤー氏によるもので、当初はかんらん石の一種として紹介されました。 それが隕石の衝突によって生成した天然ガラスであると議論されるようになるのはそれから数百年もの後、1960年代のことになります。 それまでは何かしらの人工物もしくはオブシディアン(黒曜石)の一種だと考えられていましたが、モルダバイト内部の溶解による複雑な構造や化学組織の違いから、新たなる視点での研究が行われるようになったのです。
現在の最も有力な説は1933年に地質学研究家であるスペンサー氏によって唱えられ、コーエン氏により確立した隕石衝突起因説です。 隕石の衝突による衝撃と超高熱により、地表の岩や砂が蒸発気化して上空に舞い上がり、それが一瞬にして冷え固まって落下したものだと考えられています。 モルダバイトの不思議な形状や融解模様はその為だとされます。 ことモルダバイトにおいては、その起源は1500万年前に地球に落下して現在も残るネルトリンガーリースクレーター(Nordlinger Ries)を作った巨大隕石の衝突時に生成されたものだと考えられています。 研究では275トンものモルダバイトが地上に降り注いだとされていますが、現在もモルダバイトの産出を続ける鉱山はチェコ共和国内でも4つだけとなっております。 その為、数十年後にはカボションや丸玉となりうるモルダバイトの産出は尽きると予測されており、希少性は間違いなく増すことになります。
モルダバイト-テクタイトは非常に脆く、欠けやすい性質を持ちます。 宝石質のモルダバイトはカット加工され、宝石・天然石として市場に出回りますが、カット加工の際もチップ(剥離)することが多く、カット加工の後にチップなどが見られないものは非常に稀といえます。 モルダバイトの完璧な丸玉ビーズが高額なのはその為です。 今後は減る一方であるモルダバイトですので、良質モルダバイトを見つけた場合は迷わず購入し、コレクションしておくのが良いでしょう。

チェコ鉱物・岩石学庁(Dept. Mineralogy and Petrography) チェコ地質学調査報告書vol.77より スパイキー訳により一部引用・参照。

【モルダバイトの当店グレード表記】
モルダバイトにはグレード基準を設けておりませんが、形や色の良いものから順に☆で表記させて頂きます。 カット加工されたものであれば、良質の最優先事項は剥離やチップが見られないことです。 完璧な丸玉などはかなりの高額となり、チップや剥離によって形が歪んでいるものは若干質が落ちる(値段が落ちる)ということになります。 深い緑色で透過性が高いことが理想的ですが、モルダバイト特有の融解模様も観賞のポイントのひとつです。 
未研磨状態の原石の場合、グレード評価する際の主な基準は、1)溝の深さ、2)造形の面白さ、3)大きさ、が重要となります。 表面の溝が深くいくつもの皺があるものほど良く、ユニークな造形には大きな希少価値が置かれます。 特にモルダバイト特有の飛来型(オタマジャクシの様な形)や木の葉型は見た目にも非常に面白く、モルダバイトの価値としても高いものになります。 また、モルダバイトは小ぶりなものが多い為、大きくなるほど価値も上がります。 ひとつの基準は20グラムでしょうか。 20グラムを越える辺りから急に高くなり、それ以上になるとグラム単価は一気に高騰します。

【モルダバイトを身に着ける際の注意事項】
宇宙的要因による成り立ちからパワーストーンとしての注目度も高いモルダバイト。 モルダバイトにも身に着けるにあたっての注意事項があります。 テクタイト(モルダバイトはテクタイトの一種と考えられる)は硬度5-6と比較的固いように思えますが、実際のところは結構脆いです。 中に気泡が多いということも要因の一つかもしれませんが、大きな衝撃を与えると割れたり欠けたりしてしまいます。 ですので他のブレスレットとの2個着けは控えめにした方が良く、腕時計との併用は厳禁です。 とはいえ、あくまでも大きな衝撃により割れやすい、ということであり通常ブレスレットとして身に着けているだけならばさして問題はないでしょう。 ガラス質(というかガラス)ですので、汗や油が内部にまで浸透して退色や劣化を招くという事は無いでしょう。 ペンダントの場合も、他の石を2個着けしてカチカチと当たっている状態はNGです。  

【ジラライト入り水晶(ギラ石入り水晶)】

ジラライト意味 鮮やかなインクルージョンのある水晶は非常に目を惹くものであり、魅力的でもあります。 このビビットな青色の内包物が採掘されたのはブラジルのパライパ(Paraiba)、2003年の話です。 パライパといえば、例の美しいブルーグリーンのトルマリンを思い起こす方も多いかと思いますが、まさにこのトルマリンと同地域で採掘されました。 この為、産地にかかわらずジラライト入り水晶全般をパライパクォーツと呼ぶ事がありますが、ジラライトが最初に発見されたのは、アメリカのアリゾナ州、ジラカウンティ(Gila County)のクリスマス鉱山です。 Gilaliteの名前はこのジラカウンティに由来があります。 ちなみに日本ではギラ石と呼ばれているようです。
水晶の中に内包されるジラライトは濃いブルーから緑を帯びた青、鮮やかな水色・白色と多岐にわたり、多くの場合、一つのジラライト点状結晶に2色性や多色性が見られます。 また、膨らんだ熱気球状のバルーン(当店では超新星爆発と呼んでおります)のように見える内包形状も特徴のひとつです。 またジラライトは水晶表面近くの一つのレイヤー(層)に密集する特性があり、ジラライトが一列に並ぶようにファントム形状を成しているのも特徴と言えます(正確には、水晶の外層成長領域にのみジラライトが生成するので、結果としてジラライトのファントムが見られるということになります)
また、ジラライトは非常に複雑な化学式を持つ(Cu₅Si₅O⒘7H₂O)銅の液状化合物Hydrated Compound(含水化合物)である為、強い光や熱によって退色や劣色を起こしますので注意が必要です。 とはいえ、日常に浴びるような熱量では全く問題がありません。 産出量は非常に少なく、今後も入手は困難が続くと思われる希少石のひとつです。 良質なジラライト入り水晶は手に入れておいて損はないでしょう。

John I Koivula氏とJohn S White氏の論文【A new discovery in Brazil yields inclusions of gilalite in quartz】をスパイキーが和訳し、一部引用・参照しました。

【ジラライト入り水晶の当店グレード表記】
ジラライトにはグレード基準を設けておりませんが、下記を考慮の上、良いと思われるものから順に☆で表記させて頂きます。
ジラライトの質が良いとされるものは、1)ジラライトの結晶がはっきりしている、2)点状バルーン形である、3)色がビビット(鮮明)である事、4)不純物が少ない事、5)水晶自体の霧状のもややクラックが少なく透明度が高い事などではないでしょうか。 反対に質があまり良くないものは、内包物であるジラライトが少なく、ジラライトの形がはっきりしない、そして水晶自体が不透明で透過性が無いということになります。 また産出量が少ない為、近年では無駄を出さないイレギュラーな多面カットを施される事が多く、カットによって破棄部分が出てしまうカボションなどのほうがグラム辺りの単価はやや高額となります。 ごく稀にややアメジストに色づいたものがございますが、これは非常に希有だといえるでしょう。
あくまで当店独自の観点も含まれておりますのでご了承ください。 グレードがわかるほど出回っている石でもありませんので、単純に見た目が綺麗なものほど質が高いと考えるのが良いでしょう。

【ジラライトを身に着ける際の注意事項】
ジラライト入り水晶はつまり水晶ですので、強度や耐性は水晶に準ずる事になります。 水晶は身につけるには最も適している石であり、硬度が7.5-8と高く、スクラッチ傷にも比較的強く、汗や油・水にも強く、光や熱にも強いです。 内包物であるジラライトは強い光や熱で退色することがわかっていますが、日常浴びる程度の光や熱では問題ありません。 しかしジラライト入り水晶で気を付けなければならない事は、カット加工に要因があります。 ジラライト等の希少な内包物の入る天然石は多面カットされることが多く、多面であるだけ「角」が多い事になります。 角の尖っている部分というのはどうしても衝撃を一点で受けやすくなり、その部分が欠けてしまう可能性が大きいのです。 ジラライトに限らず、多面カットしてある石は、角が多いため衝撃には注意を払わなければなりません。  

【メテオライト・ギベオン】

メテオライト(ギベオン)意味 宇宙からの使者!? その特異な石の物語は人々を惹きつけて止みません。 メテオライト(meteorite)とはつまり「隕石」の事ですが、天然石市場でいう隕石の多くは、全面に不思議な模様をもつナミビア・ハルダプ州で発見されたギベオン(Gibeonはその地名に由来)を指します。 ではこのギベオンと言われる宇宙を越えてやってきた石を見てみましょう。 まず一般的な隕石についてですが、隕石は年間でおよそ2万個も地球上に落ちているといわれますが、ほとんどが海に落ちているので発見されません。 多くの隕石は火星と木星の間にある小惑星地帯(カイパーベルト)ではじき出された惑星の欠片です。 その欠片が地球の軌道に近づくと引力につかまって大気圏に突入するのですが、大体のものは大気圏の摩擦によって消滅します(余談ですが、流れ星は小さな隕石が大気圏で燃え尽きている姿です) そして摩擦熱によっても蒸発しきらなかったものが地表へと落下するのです。
ではギベオンの話に戻ります。 ギベオンは約4億5千万年前に飛来した隕石だと考えられており、この巨大隕石は大気圏の摩擦熱で粉々に分解されて390 x 120kmという広範囲に及んで落下したという調査があります。 現在回収されたギベオンだけで26トンというデータがあるので、落下の総量はかなりになるでしょう。 このギベオン隕石は鉄を主成分とする化合物であり、鉄が約91%、ニッケルが約7.8%、その他は微量なコバルト・リン・カリウムで構成される「オクタベライト」に分類されます。 ギベオンのハイライトであり、最大の魅力が全体に浮かび上がるウィットマンシュテッテン構造Widmannstaetten structureと呼ばれる幾何学的な切断模様です。 この構造は宇宙空間においてオクタヘドライト型隕石が100万年に1℃の速度で冷却されて結晶化することによってしか現れないと言われており、地球上で作ることは不可能とされています。 尚、このウィットマンシュテッテンラインですが、実は落下したままのギベオン隕石に見られる事は非常に稀です。 これは切断面を酸で腐食するという人工処理を施すことによって現れるのです。 最近ではギベオンの偽物が出回っているという噂も耳にしますが(筆者は見たことがありませんが)、この幾何学的なウィットマンシュテッテンラインをいかにも自然のものように人工で彫刻することは非常に難しいのではないかと思います。 ちなみに鉄は空気に触れ続けると錆びてしまうので、ギベオンの表面にはロジウムコーティング(メッキ加工)が施されております。 傷かついてロジウムが剥がれてしまうと、その部分から錆びてしまう事になりますのでご注意ください。

【メテオライト・ギベオンの当店グレード表記】
メテオライトギベオン隕石には明らかなグレード基準がありませんので、当店でも大まかに3段階程度(☆3から☆5)にしか分けておりません。 また26トンという量からもわかる通り、レア石であることには違いありませんが超レア石といえるほどのものではないでしょう。 仕入れ先においても比較的安定して供給があるように思えます。 ビーズ玉の大まかな良質の基準として、1)ウィットマンシュテッテン構造がはっきりと刻まれており、幾何学模様がユニークである事、2)照り艶が良くパチンコ玉のような色調であること、3)大きな傷が無い事、くらいでしょうか。 反対に質の落ちるものはウィットマンシュテッテンがはっきりしておらず、輝きがステンレスのような鈍いものになります。 また大きな亀裂が見えるものなどはロジウム加工が不十分な可能性がありますので避けたほうが良いでしょう。 銅のような赤色のギベオンも良く見かけますが、あれはロジウム加工の際に有色の液体でコーティングしてあるものです。 これによって質が上がるわけでも下がるわけでもありませんし、色を入れているから偽物というわけではありません。 色は好みの問題かと思います。

【メテオライトを身に着ける際の注意事項】
遥かなる宇宙に想いを馳せることができるメテオライトはアクセサリーとしても大人気。 銀色は男性にも好まれる色であり、ブレスレットの一つの石として加える方は非常に多いです。 メテオライトの最大の注意点はそれが鉄であることに起因します。 上記解説の通り、鉄質隕石であるギベオンやムオナルニスタは主成分が鉄です。 鉄は酸化を起こすと錆びてしまいます。 その為、メテオライトはロジウムで表面をコーティングする加工が施されているのですが、ロジウムは摩耗する事により剥げてしまいます。 つまり、使っていればいつかは必ず錆びてしまいます。 永久的に使えるものではなく、数年後には交換しなければならないと思って下さい。 また、ブレスレットとして着用している場合、ビーズ穴の中が錆びてしまい、そこからブレスレットのゴムが腐食を起こして、切れやすくなる可能性があるということも知っておいた方が良いでしょう。 ロジウムコーティングが効いている限りは汗や油、水に強いですが、ロジウムが剥げた途端、それらは天敵となります。 熱や光にはめっぽう強いです。  

【インパクトガラス・リビアングラス】

リビアングラス意味 砂漠で見つかった謎の物体、このリビアングラスの最も面白いところはリビアングラスが未だに「謎」に満ち溢れているという事でしょう。 リビアングラスが最初に確認されたのは1932年、イギリス人のクレイトン率いるエジプト砂漠未開地域調査団が現エジプト・リビアの国境にほど近いGilf Kebir台地に到達した時でした。 周辺に散在する不思議な黄色や緑色の物体を発見したのです。 その後、本格的な調査が開始されるようになり、リビアングラスが学者の間で物議を醸すのは1971年の話となります。 ではリビアングラスの謎に迫ってみましょう。
このリビアングラス、早い話が「天然ガラス」なのですが、その起源が掴めておりません。 当初の研究ではリビアングラスはテクタイトの一種だと考えられました。 テクタイトとは、上記モルダバイトを含む隕石の衝突に起因のある天然ガラスです。 隕石の衝突による衝撃と超高熱により、地表の岩や砂が蒸発気化して上空に舞い上がり、それが一瞬にして冷え固まって落下したものがテクタイトです。 空中を超高速で飛散しながら急速凝固した為にテクタイトの原石はどれも小さく棒型、滴型、帽子型、円盤型と実にユニークであり、表面には空気の摩擦による溶融溝があります。 しかし問題のリビアングラスは比較的寸胴で、他のテクタイトよりも大きな塊として見つかり、表面には溶融溝らしきものはあれども、テクタイトのそれほどダイナミックではありません。 両者は主にシリカからなる化合物ですが、テクタイトは68%から80%のシリカを含むのに対し、リビアングラスのシリカ含有率98%にも達します。 ではリビアングラスとは何なのか? リビアングラスが散在する地域のヌービアン砂岩を調べた結果、この砂岩の成分が限りなくリビアングラスに近い事が判明しました。 例えば、スノーフレークと呼んでいるクリストバライト(方珪石)。 これはヌービアン砂岩の石英が変性異像したものだと考えられます。 しかしこの石英に富むヌービアン砂岩を融解し、ガラス化するには1500度以上の高温が必要になるのです。

リビアングラス原石 そこで隕石起因によるヌービアン砂岩の融解説が有力となります。 そのような超高温を発生させることができるのは隕石以外に起因が見つからないのです。 しかしリビアングラスが見つかった地域の近くには2つの小さなクレーターが見つかっていますが、そのクレーターとリビアングラスを結び付ける証拠は何ら見つかっておりません。 また、「インパクトガラス(インパクタイト)」として知られるオーストラリアのヘンベリーガラスやサウジアラビアのワバールガラスに比べても、リビアングラスは極端に不純物が少なく、透明度があります。 やはり隕石起因説にしても有力であれど100%の確証が無いのです。 リビアングラスは放射性炭素測定により2800万年前の産物というのがわかっておりますので、風化や砂漠化を受けて隕石クレーターは跡形も無くなったという可能性もあります。 隕石は地表に衝突する前に大気中で爆発を起こす場合もありますので、その際の熱波(衝撃波)で作られたという説も一理あります。 いまだ持って研究者を悩ませ続けるリビアングラスの起因、それがリビアングラスの謎であり、人を惹きつけて止まない魅力なのです。 そんなリビアングラスを削ってしまって良いのか!?という話ですが、実は3万年前の旧石器時代にも現地の人々はリビアングラスを加工して打製石器などとして使っていた事がわかっております。 今では縁あって、我々現代人がアクセサリーとして使用している訳です。 しかしリビアングラスは脆くて割れやすい性質を持ちます。 大きな衝撃で割れてしまいますので見に着ける際は気を付けた方が良いでしょう。 特にブレスレットとして身に着ける場合は注意が必要であり、どちらかというと日常着けよりもコレクション品とすることをお勧めします。
最近ではリビアングラス偽物が出回っている、という噂を耳にします。 しかし上記の通りリビアングラスの生成には膨大な熱量が必要となり、例えばヌービアン砂岩をラボに持ち込んで1500度以上の高温で融解させるという事をするでしょうか。 内部の気泡が瞬間的な多大なる熱量で歪んで楕円のようになり、それが層状に並ぶ状態を作り出せるでしょうか。 広島・長崎型の核爆弾は10ktという威力だそうですが、この威力を持ってしても岩石の完全なガラス化は見られないそうです。 もし「リビアングラス」としている偽物があるのであれば、それは誰でも明らかにわかる人工的なガラスか陳腐なプラスチックか何かだと思われます。

カリフォルニア大学教授John W. Olsen氏とカンサス州立大学地質学部学部長James R. Underwood氏の論文をスパイキーが和訳、飯田孝一氏の天然石のエンサイクロペディアを一部引用・参照しました。

【インパクトガラス・リビアングラスの当店グレード表記】
インパクトガラスリビアングラスも厳密にグレードを設けるのが難しい石の一つです。 当店では大まかに3段階4段階程度(☆3つから☆5つ)で表記させて頂きますが、1)透明度・透過性が高く、2)黄色の発色が良い事、が良質の条件です。 しかしリビアングラスにとってはクリストバライト(方珪石)が創り出すスノーフレークもひとつの見所ですし、個人的には透明度の高いグラスの中にスノーフレークが点在しているものは好みです。 また楕円形に潰された気泡が層状になっている融解模様も生成の際の膨大な熱量と衝撃を物語っており、「それらしさ」として評価されるべきでしょう。 色の薄いものや不純物で綺麗でないもの、あからさまに曇ってしまっているものは質が落ちるとお考えください。

【リビアンガラスを身に着ける際の注意事項】
レア石の中でも人気の高いリビアングラス。 成因が未だわからず、未知なる物体であることも好奇心を掻き立てます。 モルダバイトと同じような溶融ガラスである為、アクセサリーとしての強度はモルダバイトと近いものになります。 表面はガラス同様ですので、汗や油・水分を吸収することはなく、それらによって退色や劣化をすることは無いといえるでしょう。 日常浴びるような熱や光では影響を与えることはないと考えられます。 しかしながら衝撃には非常に弱く、脆い性質を持ちます。 リビアングラスはモルダバイト以上に割れやすいのです。 ブレスレットにせよペンダントにせよ2個着けは好ましく無く、落下等の大きな衝撃にも注意しましょう。  

【アンデシン】

アンデシン意味 只今解説準備中

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